▲東京高輪病院・国際部の横山みどりさん(左)と島津忠司さん(右)

経験豊富な看護師を配置

高額な医療費を支払っても日本の医療を受けたいと来日する外国人が増えている。入院や複数回通院するため6カ月以上滞在する外国人に発行される医療滞在ビザは制度化から6年で19倍に増えた(詳細は4月10日号)。一部の病院は外国人を受け入れる体制を整え、医療インバウンドの拡大を目指す(関連記事はこちら)

品川駅から徒歩10分の東京高輪病院(東京都港区)は、外国人の患者に対応する専門部署、国際部を2015年に立ち上げた。高輪、品川プリンスホテルをはじめ大型ホテルが周辺に並ぶこともあり、外国人旅行者の来院は以前から多かった。

国際部を立ち上げてからは、医療目的で来日する医療渡航者の受け入れが増えている。部署を立ち上げてから2年間で実現した医療渡航案件は、50件だ。国際部には3人の専従者を置き、英語、中国語、ロシア語に対応する。専任者の一人、横山みどりさんは、副看護師長を務めるベテランだ。医療渡航者が来院するまでの対応窓口に、医療現場に精通した経験者を置いている。

医療渡航者とのトラブルは、事前に患者の健康状態や希望する医療サービスの内容を把握できていない場合に起こりやすい。このため東京高輪病院では来日前に「しつこいくらいに」(横山さん)患者と情報交換をする。来院後の診察内容を確認するだけでなく、症状やこれまで現地の病院で診察された結果について、細かく聞き取る。本人を通じてカルテを取り寄せることもある。医師の確認を待たずに情報交換できる体制を整えているのだ。

医療渡航者の治療や検診の内容は、来院するまでにすべて決まっている。渡航者は費用を事前に支払わなければならない。保険が適用されない自由診療となるため請求額が高額となるからだ。来院当日、診察の結果を見て治療の内容を決めた場合、患者は後日もう一度来日しなければならない。

▲済生会中央病院(東京都港区)・患者支援センター国際連携室の王阳さん

医療渡航を希望する外国人と日本の病院をつなぐ、医療渡航支援企業(※)を活用しながら、自力で医療渡航者の獲得に力を入れる。中国やロシアにある現地のあっせん業者から送客を受けることも多いが、来院までの事前対応は、横山さんが担当する。

医療に通じた通訳者を置く動きは他の医療機関でも始まっている。済生会中央病院(東京都港区)では17年11月に患者支援センター国際連携室を設置した。3人の通訳専任者で5カ国語に対応する。それ以前は院内に外国語対応できる担当者がいなかったため、利用者をあっせんする企業の通訳を介して患者に対応してきた。「だが、本当にこちらの意図が伝わっていたかどうか、疑問に思う部分があった」(商務・サービスグループヘルスケア産業課・岸本堅太郎氏)

医療関係の2種類の通訳資格を持つ王阳さんは医療渡航者の専任だ。着任して4カ月だが、毎月10人程度に対応しているという。

(※)医療渡航支援企業
日本で検診や治療を希望する海外の医療渡航希望者と、外国人に対応する日本の医療機関をつなぐ事業者。国内外で多数が活動するが、経済産業省の外郭組織、(一社)メディカルエクセレンスジャパン(MEJ)が認可しているのはジェイティービー(東京都品川区)と日本エマージェンシーアシスタンス(東京都文京区)の2社のみ。

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国際イベントニュース 編集長 東島淳一郎国際イベントニュース編集長 東島淳一郎
2009年全国賃貸住宅新聞社入社。劇団主宰者から銀行勤務を経て30歳で記者に転身。7年間の記者生活を不動産市場で過ごす。2016年9月、本紙創刊とともに現職。

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