▲今年2月、那覇空港には県内のキャンプ地を紹介する特設コーナーがつくられた

「オフシーズンの観光客数を、野球キャンプで増やす」。そういって沖縄県と各市がスポーツで県外の観光客を呼び込みはじめたのは、今から30年以上前のことだ。プロチーム誘致に立ちはだかるのは、施設整備の問題。多額の投資を必要としながらも、そのぶん地域の産業は着実に活性化しているようだ。

サッカーキャンプの誘致も増加

事業費用68.5億円

―――老朽化の進んだ現施設では誘致できない。1960年に建設された奥武山(おうのやま)野球場(現・沖縄セルラースタジアム那覇)を那覇市が建て替えたのは、2010年のことだ。県内初の本格野球場として建て替え前からプロ野球などさまざまな競技の大会にも使われていたが、キャンプ誘致には老朽化がネックとなっていた。

「もともとは市民が日常的に使用するための運動施設として造られたもので、建て替え計画が前々からあった。だが、建て替えを機にプロ野球のキャンプを誘致させたいという狙いから、専門の施設も付随させた」(那覇市経済観光部・永山博主査)

建て替えられた同施設は、天然芝を敷き、3万人を収容することができるメインスタジアムに加え、屋内練習場やブルペン、サブグラウンドなどプロチームの練習にも耐えうる設備が造られた。建て替えにかかった総事業費は68.5億円だ。

こうして那覇市が呼び込んだのは、それまで宮崎県でキャンプを実施していた読売巨人軍だ。今年も2月に、8回目となる沖縄キャンプが開かれた。「巨人軍は現在、キャンプの前半は宮崎県、後半は沖縄県、という形になっている。沖縄県では多くのチームがキャンプを実施しているため合同練習がしやすく、他県に比べ10度近く温暖なので都合が良いと好評をいただいている」と永山氏は語る。

キャンプ開催以外の時には、いち市民球場としての顔に戻る。市・県の野球大会が開かれるほか、小学校から社会人まで幅広いチームが練習のために使用している。16年度の稼働率は71.39%にのぼるという。

掲載効果も増加

冬季の観光客増加は、地元商店にも変化を生んでいる。観光客が多数訪れる「那覇国際通り商店街」で沖縄料理を提供している飲食店オーナーは「これまで観光客が多かったのは夏と、秋ごろの修学旅行シーズンだった。数年前から冬に、県内のキャンプツアーを紹介するパンフレットを持って来店する客が増えるようになった」と話す。

県が誘致を狙うのは野球だけではなく、サッカーも同じだ。10年ほど前から県と各市は連携して国内外のプロサッカーチームを誘致する動きを強化している。

沖縄県文化観光スポーツ部の德嶺竜二氏は「09年にはJリーグ2チームだけだったが、昨年にはJリーグ17チームに加え、中国・韓国のプロチームなど計24チームを誘致した。ファンの来訪も増えており、経済効果は着実に増加している」と語る。


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p1050331 国際イベントニュース 編集部 長谷川遼平
2012年入社。賃貸住宅に関する経営情報紙『週刊全国賃貸住宅新聞』編集部主任。起業・独立の専門誌『ビジネスチャンス』にて新市場・ベンチャー企業を担当。民泊やIoTなど、新産業を専門に取材中。

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