夏場の人気観光地である沖縄県を、2~3月の冬季に訪れる観光客が急増している。目的は同時期に開催されるプロ野球チームのキャンプだ。ファンを巻き込んだスポーツキャンプツーリズムを作り出したのは、チームを呼び込んだ地方自治体だった。

昨年の3月観光客数は77万人
名護市 1981年から日ハム誘致

「沖縄の観光産業は夏場に集中し、冬季に冷え込む。この状況を打破することは、県や市にとって長年の課題でした」

そう語るのは、沖縄県那覇市、経済観光部・観光課の永山博主査だ。観光課の仕事の一つには、プロ野球・読売巨人軍のキャンプの支援がある。市内の奥武山公園にある野球場沖縄セルラースタジアム那覇では2011年から巨人軍がキャンプを行っており、そのキャンプを見学に来る県内外のファンに向けて市内の観光をPRするのが、同課の狙いだ。

県の冬季の観光振興にプロスポーツのキャンプツーリズムを生かす施策は、大きな成果につながった。県の調査によると、17年の県内への観光客数は939万6200人と過去最高を記録。そのうち、3月単月の客数は77万8500人で、15年時8月の数値と同規模となる。

県内での野球キャンプ誘致の歴史は古い。最初に誘致に成功したのは名護市で、1981年から日本ハムファイターズがキャンプを行っている。

名護市商工観光局の赤瀬健太郎氏は「県と球団との付き合いのきっかけは、1977年のシーズン中に球団側が沖縄の応援として『沖縄デー』というものを設け、当時の東京での試合の際に沖縄のPRを行ったことでした。その翌年、冬場の県内の観光振興を目的として、当時の沖縄県観光連盟が中心となって日本ハムファイターズに県内でのキャンプを要請したのです」と語る。

要請を受けた日ハムは、同年秋に試験的に選手の一部を連れた練習を名護市で開いた。その後、投手陣のみでのキャンプを79、80年と2年間開いたところ、シーズン中に好成績を残した。結果、81年からは1軍の主力選手を率いた本格的な春季キャンプを名護市で開催するに至ったのである。

「日本ハムファイターズはその年のシーズンで、19年ぶりに優勝を果たしました。それでセ・パ両リーグの球団が沖縄でのキャンプに関心を持つようになったのです。沖縄は冬季も温暖で、練習するのには最適ですから」(赤瀬氏)

こうした市の動きは、県内の他の地域にも及んでいった。今では、日本のプロ野球チーム球団のうち、9球団が県内でキャンプを行っている。各球団ではキャンプ開催に向けてファンを県へ呼び込むPRも行っており、スポーツキャンプツーリズムの動きは近年さらに活性化している。


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p1050331 国際イベントニュース 編集部 長谷川遼平
2012年入社。賃貸住宅に関する経営情報紙『週刊全国賃貸住宅新聞』編集部主任。起業・独立の専門誌『ビジネスチャンス』にて新市場・ベンチャー企業を担当。民泊やIoTなど、新産業を専門に取材中。

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