▲「FOODEX JAPAN」の会場。海外来場者を強く意識する企業は多い

食品メーカー 海外市場狙いうち

日本の食品メーカーがこぞって海外進出に乗り出している。人口減で先細りする国内マーケットに危機感を持ち、海外市場に乗り遅れまいとする意欲が強まっているためだ。日本ブランドを生かせる品目を扱うメーカーが中心で、中小企業も海外で開かれる国際展示会などを通じて販路開拓を図っている。

白鶴、海外で2桁成長

6日、(一社)日本能率協会(東京都港区)が主催する食品・飲料の国際展示会「FOODEX JAPAN」に83カ国・地域から3466社が出展した。そのうち日本企業は1313社。アジアや欧米など海外来場者だけで約1万人が来場するとあって、海外進出に高い意欲を持つ企業も少なくない。

同協会の内田敏之副センター長は「10年前から海外輸出を狙う企業向けの専用コーナーを設けた。出展企業のほとんどは中小企業なので、手間や資金の課題から本格的に海外進出を図っている企業は多くないが、海外に出なければいけないと危機感を感じている企業は多いだろう」と語る。

その最たる例が、日本酒の白鶴酒造(神戸市)だ。昨年の売り上げ348億円のうち、約8%を海外での販売が占めている。現在輸出先は40カ国超に上っているが、中でも中国や台湾、韓国、北米での売り上げが好調だ。ここ5年間は海外売上高が2桁成長を続けているという。内田副センター長は「白鶴酒造はこの数年ずっと海外パビリオン沿いの小間を押さえるよう、強い要望を出してくる。海外バイヤーが盛んに通る道なので、目も引く場所だ」と話す。

海外向け商品の開発にも力を注いでいる。同社は現在約20~30銘柄で海外用パッケージを作り、販売先に合わせて言語や価格を変えて販売している。輸送コストや関税によって日本より価格が高くなることが多いため、高級品に見えるようにパッケージを変更しているものも少なくない。

同社の瀬戸家幸利課長は「『白鶴錦』の場合、日本でも価格は約3000円だが、アメリカで販売しようとすると5000円で売らなければいけない。そのため、パッケージのデザインに金の鶴をしつらえるなど、視覚的に高級感を出すようにしている」と話す。

銘柄と輸出先によっては、中身の酒自体を変えることもある。アメリカでは近年健康志向が高まっていることから、無農薬の米を原料とした酒に変えて販売しているものもある。

「海外には今後も力を入れていくことになる。今のところ海外拠点はロサンゼルスの一カ所のみだが、そこも5年前に人員を強化した。ほかにも東南アジアで3人、世界全体で12人の海外販売担当を就けている」(瀬戸家課長)

「日本ブランド」で中小企業も攻勢
食品輸出額は5年連続で増加

米・菓子・牛が売れる

▲右が海外用、左が日本用。説明文を英語にし、デザインも変えている

日本茶も勢い盛んだ。伊藤園(東京都渋谷区)は2001年にアメリカでの販売を本格的に開始し、この5年は売り上げが2桁成長を続けているという。他の地域でも販売は行っているが同社が特に力を注ぐのはアジアだ。国際事業推進部の立本寛治氏は「もともとお茶を飲む文化があるためアジアは売りやすい。現在世界13拠点で現地法人を設けているが、そのうち7つがアジア。当社はペットボトル販売とティーバッグ販売の2つがあるが、アメリカに対してはペットボトル販売が主となっているのに対し、ニュージーランドではティーバッグがメインとなるなどの違いがある」と語る。

だが、近年はアメリカが捨ておけないようだ。「業界では、3年前にスターバックスが『抹茶』ラテの販売を開始したことが大きな衝撃だった。もともとペットボトル飲料が主流の国だったので当社の商品もよく売れていたが、これをきっかけにティーバッグにも商機が芽生えたととらえ、攻勢をかけるつもり」と立本氏は語る。

好調なのは飲料だけでなく、食品全般に言えるようだ。農林水産省によると、17年の日本の食品輸出額は8073億円(前年比7.6%増)。13年から5年連続で上昇を続けており、19年には1兆円に到達する見込みだ。

内田副センター長によると「やはり日本ブランドが生かせるものの人気は強い。米粉やお菓子、牛肉などは好調と聞く」と語る。

仙台和牛を販売するファインフードジャパン(仙台市)の片平義彦社長は「昨年9月に和牛の台湾への輸出が解禁され、その後わずか数カ月で1.5トン分の受注があった。台湾は親日国で若者を中心に日本食への関心が高いが、和牛に関してはBSEの問題から長らく輸出ができない状態にあった。他の和牛関連の食品会社も台湾での販売が好調と聞くので、台湾に販路を開こうとする中小企業は少なくない」と語る。

ジェトロによると、海外の食品展示会に出展する中小企業は増加を続けているといい、今後も食品メーカーの海外進出はますます増えていきそうだ。


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p1050331 国際イベントニュース 編集部 長谷川遼平
2012年入社。賃貸住宅に関する経営情報紙『週刊全国賃貸住宅新聞』編集部主任。起業・独立の専門誌『ビジネスチャンス』にて新市場・ベンチャー企業を担当。民泊やIoTなど、新産業を専門に取材中。

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