農業体験、民泊で急増 支援団体設立でブーム化狙う

▲都心部でも農業体験が盛ん

農業体験、民泊で急増 支援団体設立でブーム化狙う

全国の農村や漁村で観光客を受け入れる「農泊」事業が全国に広がっている。農業体験をしたい都内の観光客などを農家とマッチングさせ、農業体験ツアーを組むことで農家の収益に繋げる。地域の観光産業の活性に取り組む地方自治体も支援に名乗りを上げており、住宅を宿泊地として貸し出す「民泊」事業が本格化する流れを受けて大きなブームになろうとしている。

今月7日、農泊事業の振興を目的とした(一社)日本ファームステイ協会(東京都千代田区)が都内で設立会見を開いた。鳥取県の平井伸治知事が会長を務める組織で、民泊仲介の百戦錬磨(宮城県仙台市)や農協グループで旅行業を営む農協観光(東京都千代田区)、時事通信社(同中央区)などが参加する。

会見で平井知事は「これからの日本の観光産業において、農村や農業体験を活用した宿泊事業を盛り上げていく必要があると考えている。東京や大阪といった都心部以外での農泊を開拓することは地域の住民や産業に希望を与えるものになる」と意気込みを語った。

農家の収入向上・働き手確保にも
地域の伝統芸能と合わせて売り込む

協会は近いうちに農泊の認証制度を確立させるほか、農泊事業者と支援事業者のマッチングサービスを行う開始する予定だ。理事を務める百戦錬磨の上山康博社長は「農泊したいが、集客など具体的なノウハウがわからないなどの課題を持つ地域の人々と、民間企業や団体をマッチングさせ、成功事例を共有したい。宿泊事業として安心・安全を担保できる制度もつくっていきたい」と語った。

農家支援と観光振興

農業を観光に生かした取り組みは数十年前からあるものだ。今年で設立50周年を迎える(一社)全国農協観光協会(同千代田区)の木本和男部長は「もともとは、全国の農家の方々がどこかに観光に行く支援をする組織として誕生した。それが後に、都心部などで農業体験したいと考えている人を全国の農家へと繋げる事業をするようになった。現在では田舎暮らし体験ツアーなどを定期的に企画し、農家の収益アップにつなげる取り組みを行っている」と話す。

同協会が運営するふるさと倶楽部には、農業体験や田舎暮らしに関心を持つ4000名が参加している。年に4~5回程度、会員に向けて20~30本ほど農業体験ツアーを組んで案内する。参加人数は年間3000名に上るという。

「都心に住む50~60代が中心だが、20代の夫婦や学生といった若年層も少なくはない。農家としては働き手の確保にもつながっており、観光振興としてだけではなく、地域産業を支える役割にもなっている」と木本氏は語る。

昨年からは自治体を巻き込む動きもはじまった。農業体験ツアーに加えて、地域の伝統芸能を楽しむイベントの企画を開始。今年10月27日には島根県と同県津和野町、地元観光協会などと地元の民俗芸能の「鷺舞(さぎまい)」「奴道中」を演ずるイベントを実施する。地方の市町村へ人を呼び込み、農業とともに地元の伝統芸能を楽しむ動きを作るという。

参加自治体も増加

農泊ブームの根源となっているのは民泊だ。民泊は住宅の空き部屋などを宿泊地として観光客に貸し出すサービスで、海外の利用者も多い。百戦錬磨では16年に徳島県美馬市と農泊推進事業を共同で開始するなど地方自治体との連携を強めている。

民泊を活用した農業観光の事例として挙げられるのが、長崎県小値賀島のNPO法人、おぢかアイランドツーリズム協会だ。同協会は06年に設立し、教育旅行を中心とした民泊事業を開始。島内の古民家をレストランや宿泊施設にリノベーションし、農業体験と島内の観光名所を楽しむツアーを組んで全国の観光客にアピールした。今では年間旅行者数は7896人おり、同協会が運営する古民家宿泊施設の売り上げは1800万に上る。農泊による農家への年間収入は1戸あたり最大120万円にのぼるという。

「農泊は昔からあったが、自治体などが専用の宿泊施設を設けたりして受け入れすることも多かった。それだけだと施設の経営的には厳しく、立ち行かなくなる地域も少なくなかった。今は民泊で農家自身が気軽に宿泊事業を行えるので、受け入れ側も取り組みやすい」と木本氏は語る。


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p1050331 国際イベントニュース 編集部 長谷川遼平
2012年入社。賃貸住宅に関する経営情報紙『週刊全国賃貸住宅新聞』編集部主任。起業・独立の専門誌『ビジネスチャンス』にて新市場・ベンチャー企業を担当。民泊やIoTなど、新産業を専門に取材中。

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