▲個人で訪れる外国人観光客に人気の「ランプの宿 青荷温泉」(黒石市)。電気もインターネットも通じない山間地での体験が宿泊客のSNSで取り上げられて拡散した

中国人客、青森を目指す

中国本土から青森県に来た中国人観光客の数が、2017年は11月末時点で5万6950人に達し、16年に比べ3.5倍に伸びた。昨年5月、天津ー青森間を結ぶ定期便が就航したことが一気に数字を押し上げた。仙台、羽田、成田など他県の国際空港から入国し青森に来る個人旅行客も増加しており、青森県内で2泊以上することも珍しくないようだ。台湾も含めた中国語圏で青森が知られるようになった背景には、中国版ソーシャルネットワークサービス「Weibo(ウェイボー)」での情報拡散が成果を上げている。(関連記事=3面)

香港を除く中国本土から青森に来た観光客の総宿泊数は、1年で4万泊増加した。中国の航空会社、奥凱航空が週2往復する定期便を就航させ、月に3000人強の中国人が訪れるようになったからだ。これまで青森空港の国際便はソウルとの往復便しかなかった。

定期便で訪れた観光客は、今のところ、旅行代理店が企画したパック旅行の参加者で占められている。青森市内の大型ホテルに1泊した後は他県に出てしまうため、青森の経済効果は限られている。そこで観光関係者が注目するのは、他県で入国し青森にやって来る旅行者の動向だ。

県の観光国際戦略局誘客交流課の清野浩輝氏によると、県内で2、3泊する外国人観光客も増加しているという。彼らは大きく2つのグループに分けられる。一つは、北海道から日本に入り、北海道と合わせて青森観光をするツアー客、もう一つは自分たちで旅程を決めてやってきた個人旅行客だ。

北海道経由のツアーは中国の旅行代理店が企画した。自然が豊かな北海道だが史跡が少ないため、弘前城や、ねぶたを展示した青森市の観光施設「ワラッセ」などを見学するコースが人気だ。

個人旅行者の足は、日本人でさえ知る人が少ない山間の温泉地にまで及ぶ。青森県の中央に位置する「ランプの宿・青荷温泉」(黒石市)は、電気やインターネットが通じない秘境だが、宿泊客がソーシャルネットワークに投稿した写真が評判となり、世界中から旅行者が訪れるようになった。
今年度は1月までで1650人の外国人旅行者が宿泊し、前年比1.6倍に増えている。一番多いのは台湾人の373人で、これに香港、本土からの旅行者を加えた中国語圏全体で外国人客の4割強を占める。

情報収集は中国版SNS「Weibo」で

中国系旅行客の情報源となっているのが、Weiboだ。ツイッターの機能に近いWeiboは、月間アクティブユーザー数が3億6000万人(17年6月時点)に達し、台湾、香港を含め中国語圏の人たちに広く使われている。青森県観光国際戦略局はWeiboでの情報発信に力をいれており、公式アカウントは120万のフォロワーを獲得している。フォロワーが日本の自治体で2番目に多い仙台市でも8万なので、いかに青森県が突出しているかわかる。

国際交流事業で中国から県庁にやって来たスタッフがアカウントを開設したのが、2011年。しばらく県庁内で更新作業を続けていたが、4年前から運用を本格化させ、現在は上海にある中国の広告代理店に委託している。青荷温泉のような県内観光地の風景や名産品の写真を1日に数回投稿する。

個人旅行者だけでなく、旅行会社のスタッフも見るため、投稿写真をきっかけにツアーが決まることもあるという。最近は、中国の人気アナウンサーとテレビ局関係者7人が、星野リゾートが運営する「青森屋」(三沢市)に2泊、不老ふ死温泉に1泊するプライベート旅行に訪れた。これを企画したのは中国の旅行会社で、社長自らガイドを務めた。中国各都市の旅行会社を回ることが多い清野氏は「Weiboでの地道な情報発信が、確実に中国での知名度獲得につながっている」と話した。

県内で連泊する個人旅行者

▲日本海に面する露天風呂がSNSで取り上げられた「不老ふ死温泉」にも各国から観光客が訪れている

個人旅行で青森に訪れた外国人旅行者には、青森県内で連泊する人が多いようだ。青荷温泉の原田篤久社長が宿泊客に翌日の行き先を聞くと、車で1時間ほどの酸ヶ湯温泉か、日本海側の不老ふ死温泉(西津軽郡深浦町)と答える。
そもそも青荷温泉に行くのに、弘前から電車や路線バスを乗り継ぎ2時間かかる。青荷温泉から不老ふ死温泉まで移動するには、公共交通機関を使うと半日は必要だ。

それでも外国人客の大半は電車とバスでやって来る。日本に着いてから予約を入れる人も多い。

秘境と呼ばれる温泉に訪れる外国人旅行者にしてみれば、数日かけて歩かなければ、青森に来た意味はないのかもしれない。


国際イベントニュース 編集長 東島淳一郎国際イベントニュース編集長 東島淳一郎
2009年全国賃貸住宅新聞社入社。劇団主宰者から銀行勤務を経て30歳で記者に転身。7年間の記者生活を不動産市場で過ごす。2016年9月、本紙創刊とともに現職。

関連記事

コメントは利用できません。

 

おすすめ記事

  1. ▲ラスベガスに本社を置くMGMリゾーツの日本法人CEOのエド・バワーズ氏は、「日本人の考え方と合わないIRが政府に承認されることはない」と考える

グループ会社

全国賃貸住宅新聞社

ページ上部へ戻る