▲東京オートサロンの会場の様子。音楽ライブやダンスパフォーマンスなど華やかな催しが各ブースで行われた

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12~14日、東京ビッグサイトでカスタムカー用品展「東京オートサロン」が開催された。442社・880車両が出展し、来場者数は31万9040人だった。
立ち上げ当初は自動車メーカーの出展もなくひっそりと開催されていたイベントだったが、今ではトヨタや日産、ホンダなど大手も軒並み参加。「世界三大カスタムカーショー」と呼ばれるまでに成長を果たしている。

  王道を越えた“邪道”の自動車展
マニアックな愛好家ら31万9041人が集まる

「『東京モーターショー』が将来の自動車社会や自動車技術を展示する未来型の展覧会だとすれば、『東京オートサロン』は自動車を使っていかに楽しむか、楽しませるかというイベントだ」。そう語るのは、同展を運営するサンズ(東京都新宿区)の高橋浩司取締役だ。会場では『湘南乃風』や『hitomi』『DoAsInfinity』など著名アーティストのライブのほか、旧車のオークションやドリフトパフォーマンスなどさまざまな企画が催された。

東京オートサロンがはじまったのは1983年のことだ。発起人は三栄書房が発刊するチューニングカーマガジン「OPINION」の初代編集長・稲田大二氏。カスタムカーの文化を広めるためにと立ち上げたもので、「東京エキサイティングカーショー」というタイトルだった。立ち上げ当初は自動車メーカーの出展もほとんどなかった。

当時は暴走族が社会的問題となっていた時代で、自動車のセルフカスタマイズは「違法な改造車」と見られることがほとんど。実際、当時の展示会では違法な改造を施した車両を展示されたこともあった。メーカーが参加するにはあまりにも無法地帯すぎた。

潮目が変わったのは2000年代に入ってからだ。暴走族ブームが収束していくと同時に、それまでカスタムカーそのものの出品が多かったものがカスタムパーツやチューニング用品など出品の幅が広くなっていった。そうすることで来場者も、いわゆる「改造車」目当てのコアなファンのみだったのが、自分の所有車の運転性能を向上させたいライトな志向のユーザーにまで広がるようになったのである。

来場者の幅が広がったことから、幅広い客層に訴求したい自動車メーカーの出展意欲も向上。その後は来場者数も右肩上がりで増加を続け、現在のような「すべての自動車ファンのためのイベント」となったのである。とはいえ、大手自動車メーカーが出展するのは、東京モーターショーのような大衆向けの自動車ではなく、マニアックな自動車ファンに向けた商品ばかりだ。

トヨタが今年出展したのは、ハイブリッド車の技術を取り入れた次世代スーパーカーの試作車GRスーパースポーツコンセプト。最高速度は300km/hを超え、公道も走ることができる。価格は億を超える高級品だ。対する日産は、自社のカスタムカーのラインナップを出展。中でも注目を集めたのは、ミニバンの電動モデルセレナe―POWERにスポーツカーの要素を取り入れた試作車。ミニバンながら力強い走りが魅力だが、価格も通常タイプより高めだ。

▲展示会の運営に携わるサンズ(東京都新宿区)の高橋浩司取締役

それでも来場者が自動車を趣味とするコアなファンであるため、ただのパフォーマンスの場ではなく、高級志向の顧客層に新商品を売り込む場として成り立っているのである。一方で、課題として残るのは会場のキャパシティだ。現在の会場は幕張メッセ全館となっており、拡大の余地がない。これ以上出展者を増やすこともできないので、さらなる拡大は難しい。

東京モーターショーが自動車産業の「王道」展示会だとすれば、オートサロンは「邪道」。にもかかわらず規模を拡大させ続け、いまや一日当たりの来場者数では王道を抜くまでに至ったのは、利用者目線に立った展示会を目指し続けてきたからに他ならない。高橋取締役は「際立った自動車の出展や、ダンスやライブといったパフォーマンスなど、エキサイティングなイベントでありたい」と話す。


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国際イベントニュース 編集部 長谷川遼平

2012年入社。賃貸住宅に関する経営情報紙『週刊全国賃貸住宅新聞』編集部主任。起業・独立の専門誌『ビジネスチャンス』にて新市場・ベンチャー企業を担当。民泊やIoTなど、新産業を専門に取材中。

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