▲グランドプリンスホテル新高輪に隣接する2000㎡の催事スペース「飛天」。ディナーショーやFNS音楽歌謡祭の会場としても使用される

前号(12月25日号)で取り上げた通り、東京ビッグサイトや幕張メッセ以外の展示会場も、首都圏ではほとんど空きがない状況だ。そこで今回取材班が向かったのは、大規模催事スペースを持つ都内の高級ホテル、ターミナル駅に複数の貸会議室を持つ運営会社、利用者層はそれぞれまったく異なるものの、どの会場も近年の稼働率は極めて高く、貸し手優位の状況を改めて確認することができた。

ホテルの大型宴会場アジア企業が決起集会

成績優秀者が900人来日

▲プリンスホテル(東京都品川区)東京シティーエリア 田口真也営業統括支配人(50)

▲プリンスホテル(東京都品川区)東京シティーエリア 田口真也営業統括支配人(50)

大規模宴会場を多く持つ都内のホテルといえば、その筆頭はプリンスホテル(東京都豊島区)だ。「ザ・プリンスさくらタワー東京」「グランドプリンスホテル高輪」「グランドプリンスホテル新高輪」「品川プリンスホテル」がある高輪・品川地区には、DAIGOさん・北川景子さん夫婦が結婚披露宴を挙げた「飛天」をはじめ、1600㎡以上の催事スペースを4つ持つ。芝公園地区にも「ザ・プリンスパークタワー東京」に2つ、「東京プリンスホテル」に1つあり、どの施設にも100~800㎡前後の中小宴会場が併設されている。特に企業の利用が多い新高輪の「国際館パミール」では、IT企業が自社の顧客を招待して行うプライベートショー型の展示会が増加している。また、以前から続いているものでは、医療関係者の学会や、株主総会、祝賀会、懇親会など企業が主催する催事での利用も続いている。一方、昨今MICE関連の売り上げを押し上げているのが企業の褒賞旅行に関連する催事だ。特に、アジア企業の利用が増えており、900人の社員を連れてパーティーや研修会を開催した企業もあった。プリンスホテルでは、上海と台北に置いたサービスオフィスの営業担当者が、現地の企業を訪問し褒賞旅行の提案を強化し、実績を上げている。

「お別れの会」も大きな収入源

帝国ホテル(東京都千代田区)にも、孔雀の間という2400㎡の大型催事場があるが、こちらはMICE向けの営業に積極的というわけではない。孔雀の間でも着物や宝飾関係の展示会が定期的に開催されている。だが、大半は仏滅の土日に日程が限定されている。言うまでもなく、結婚式や披露宴が入らないからだ。仏滅の土日は2年先まで予約が埋まっている状況だ。平日は、政財界の要人が亡くなったときに、葬儀と別に開催される「お別れの会」として使用される機会が多い。月に3~4回開催されるお別れの会は、もちろん突発的に行われるものだが、売上額が大きいため、ホテル側も受注を取り逃さないように会場をできるだけ空けておきたいのが本音だ。そのため、これらの催事に合わせて利用料を高く設定しており、展示会主催者にとって、平日の催事場は、たとえ空いていたとしても費用感が合わないのが実態だ。

供給相次ぎ一部は稼働減

▲インフィールドが運営する会議室は8割以上の稼働を維持している

▲インフィールドが運営する会議室は8割以上の稼働を維持している

ここまでは小さな展示会会場になりうる大規模催事場を見てきた。続いては、会議場の代替施設になりうる貸会議室の市場を見ておきたい。貸会議室の市場でも、昨今、MICE誘致に向けた動きが見られる。最たるものは業界大手のティーケーピー(東京都新宿区)だ。全国のターミナル駅で300人以上を収容する大型会議室を増やし、これまでホテルがメインだった「バンケット」と呼ばれる食事がついた大型会議の需要を積極的に狙っている。中には1500人規模のカンファレンスルームや、結婚式に対応する会場も備える。

2017年は、展示会・会議運営の中堅メジャース(東京都港区)の買収や、アパホテル(東京都港区)との提携を決め、会議案件の獲得とサービスの強化、さらに会議室利用者の宿泊需要の獲得に向けて動き出した。都内では、新築オフィスビルの供給に合わせて会議室やコンベンションルームを開設する住友不動産ベルサール(東京都新宿区)の動きが活発だ。会議室を利用する中心は同じビル内のテナント企業だが、その他の需要を引き込むために、「コンサルティング営業を強化する」(田村大樹社長)。会場設営、当日の運営代行、人員やケータリングの手配などを一括で請け負う体制を整えており、利用者に手間を取らせない会場をアピールする。各社が供給を競う中で、不人気物件では稼働の低下が目立ち始めている。

設備が不十分だったり、相場賃料からかけ離れた会議室は、借り手がつかない。高稼働を維持するには、細かいノウハウが必要になっている。ビルオーナーから会議室の運営を受託するインフィールド(東京都千代田区)は、都内で30~700㎡の会議室60室を運営しており、おおむね8割以上の稼働率を維持している。両国、秋葉原、大手町、御茶ノ水、赤坂と、場所はさまざまだが、立地に合わせてターゲットが決まるという。「同じ大きさの部屋でも、机の大きさにより、最大収容人数は変わる。企業側は収容人数あたりの単価を意識している場合が多く、備品の選択一つで稼働率に大きな影響が出る」(中村仁執行役員)

ナイトエコノミー ホテルも進出

▲年末の12月13日にオープンしたばかりのテーブル9は朝4時まで営業する

▲年末の12月13日にオープンしたばかりのテーブル9は朝4時まで営業する

外国人旅行客の間では、日本は夜遊べる場所が少ないという指摘が多い。政府の観光戦略でも課題として挙げられている「ナイトエコノミーの充実」に対して、プリンスホテルは12月13日に、午前4時まで営業するダイニングバー「テーブル9」を品川プリンスホテルにオープンした。店内にはDJブースがあり、「宿泊客だけでなく、品川の人たちに、大人が安心して朝まで遊べる場所を提供したい」(田口真也営業統括支配人)というコンセプトで作られたものだ。羽田空港の国際化や東海道新幹線の停車駅となって以来、品川駅は利用者が一気に増えた。今年渋谷を抜いて品川駅が乗降客数5位になったことも記憶に新しい。「街の利用者が一変し、街も大きく変化している。新しい品川に相応しいホテルとは何かを問いながら、我々も変化しているところ」(田口氏)

 

 

MICEの中心は褒賞旅行

▲帝国ホテル最大の催事スペース「孔雀の間」

▲帝国ホテル最大の催事スペース「孔雀の間」

帝国ホテルでMICE営業の中心になるのは褒賞旅行だ。成績優秀者などを企業が招待して行う褒賞旅行は、国内の企業によるものが大半で、海外企業の売り上げは全体の1割程度にすぎない。だが、目下営業を注力しているのは海外企業の誘致だという。「海外のお客様は連泊していただける方が多く、宿泊で稼ぐことができる」(広報部担当者)国内客の場合、元々褒賞旅行の割合が非常に高いようだ。宿泊客に占める企業の経営者層やVIP客がそもそも多いため、帝国ホテルの営業スタンスが褒賞旅行を迎え入れる方向を向いているというのだ。「長年やってきたことが褒賞旅行の拡大を狙ったものという言い方もできる」(広報担当者)


国際イベントニュース 編集長 東島淳一郎国際イベントニュース編集長 東島淳一郎
2009年全国賃貸住宅新聞社入社。劇団主宰者から銀行勤務を経て30歳で記者に転身。7年間の記者生活を不動産市場で過ごす。2016年9月、本紙創刊とともに現職。

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