ロボット展13万人が来場 人手不足の解決に関心集まる

▲トヨタが出展したヒューマノイドロボット。介護・医療から建設現場まで幅広い活用が見込まれる

ロボット展13万人が来場 人手不足の解決に関心集まる

日本ロボット工業会(東京都港区)日刊工業新聞社(同中央区)は11月29日~12月2日、東京ビッグサイトにて「2017国際ロボット展」を開催した。1974年に晴海の国際見本市会場で始まった「産業ロボット展」を皮切りとしてロボット技術の進歩に合わせて1年おきに開催されている展示会で、今回で22回目になる。出展者数は前回から166件増となる612社・団体で、海外からは14カ国、88社が出展した。来場者数は前回を約9000人上回る13万480人となった。

■ものづくりも、サービス業も

人手不足解消につながる産業用ロボットの需要拡大により、大きなにぎわいを見せた。注目ブースのデモンストレーションが始まれば途端に人だかりができる。通路を行き交うのも一苦労だ。出展企業も老舗から新しい企業まで幅広く、目を引く製品があふれている。

中でも大小間で存在感を見せつけたのは、69年に日本で初めて産業ロボットの製造・販売に着手した川崎重工(東京都港区)、さまざまな用途に最適なロボットを発表し続けてきた安川電機(福岡県北九州市)、2013年に中国で産業用ロボットの生産を開始した不二越(東京都港区)、56年より一貫して工場の自動化を追求してきたファナック(山梨県忍野村)。そのファナックの隣には、世界シェア1位の自動車部品メーカー・デンソー(愛知県刈谷市)が出展した。国内トップクラスの産業用ロボットメーカーで、ロボット事業は90年ごろから力を入れ始めた。

同社は「自動車部品製造の技術を生かした、小型なロボットを得意としている。一方で隣のファナックさんは大型ロボットが強み。そのあたりを意識してみると面白いかもしれない」と解説する。近い将来さまざまな産業で自動化が進むことになる。
それを確信させたのは、比較的小さなブースで出展したトヨタ自動車を訪れる人の多さだ。同社の今回の目玉は自社開発のヒューマノイドロボット
実用化に目途は立っておらず、価格なども全くの未定だ。しかし、家事や介護、育児、医療診断、建設作業、災害地や宇宙などにおいて遠隔操作での活用が見込まれることから、ブースは満員御礼のにぎわいを見せた。既存の人型ロボットとの相違点は、14カ所の可動部が柔軟であること。これにより、ロボットの力を制御できるのが特徴だ。大学でもロボットの研究は活発だ。九州工業大学大学院生命工学研究科柴田研究室のブースでは、着衣介助ロボティクスが注目を集めた。マネキン人形に着せた服の着脱を繰り返し行いAI学習させることで精度を高め、2020年の実用化を目指す。商品化した際の想定価格は500万~600万円だ。

 

 

■発展途上のロボット産業

前回から大幅に出展者が増えた背景には、政府がロボット産業の支援に注力していることが挙げられる。15年には「世界一のロボット利活用社会を目指す」ことがアベノミクスの成長戦略に加わり、さまざまな予算や補助金が捻出され、ロボット産業がより活発化していった。

日本はロボット大国ともいわれるように、産業用ロボットの技術は「世界一」を評されるほど高い。その一方で、サービス用のロボットに関しては欧米が優れており、医療や介護、福祉といった社会問題化している産業への対応に向けて、急速な成長が求められている。ロボット展の出展者は産業用のロボットがメインであるが、前回に比べて医療・福祉、農業、災害対応といったサービスロボットの分野の出展も目立った。かつては製造業の中でも電気・電子・自動車業界の技術者やエンジニア、研究者が多く集まっていたが、業界の拡大に伴い今回はさらに幅広い層が来場した。

▲日刊工業新聞社(東京都中央区)
清水信好氏

日刊工業新聞社の清水信好氏はまでロボットには生産性や効率が求められていたが、これからはロボットが人と協働する時代になる。ロボットやAIが人間の仕事を奪うなどという報道も散見するが、ロボット業界の発展はまさにこれからというのが現状で、むしろ、人をサポートするロボットによって人材不足を補えるという側面が大きい。ロボットが少しずつ社会に溶け込んでいく過程で、人とロボットがそれぞれ何を担うかのバランスが保たれていくと思う」と語る。少子高齢化による働き手不足は顕著になっている。今後もサービス業の現場で、ロボットとの協働が進みそうだ。


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国際イベントニュース 編集部 長谷川遼平

2012年入社。賃貸住宅に関する経営情報紙『週刊全国賃貸住宅新聞』編集部主任。起業・独立の専門誌『ビジネスチャンス』にて新市場・ベンチャー企業を担当。民泊やIoTなど、新産業を専門に取材中。

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