地域ベンチャー 社会問題解決の糸口へ

企業のプレゼンテーション大会

▲No Mapsで実施されたベンチャー企業のプレゼンテーション大会。会場は満席

地域ベンチャー 社会問題解決の糸口へ

10月5~15日に札幌市で開催された「NO Maps」。音楽ライブや映画作品の上映などさまざまなプログラムが実施される中で特に注目を集めたのが、地元ベンチャー企業が開発する新たな技術だ。市として若手事業家の創業を支援することで都市が抱える課題の解決し、産業の活性化につなげる狙いがある。

 

「札幌にも面白いベンチャーがたくさんあるということを広く発信していきたい。若者がビジネスに挑戦する機会がある都市だということを伝えたい」。11日、No Mapsのプログラムとして市内のライブハウスで開かれたベンチャー企業の事業プレゼンテーション大会で、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の古川一夫氏はそう語った同プログラムは札幌市内にある企業や、市に所縁を持つ起業家が自社の技術やサービスを披露し、表彰するもの。

10社が登壇するほか審査員としてベンチャーキャピタルのビヨンドネクストベンチャーズの伊藤毅社長、さくらインターネットの小笠原治氏などが参加した。若手ベンチャーと企業を結びつけ、事業拡大へとつなげる狙いだ。

 

天塩町人口減にソーシャルサービスで対応

天塩町の齊藤啓輔副町長

天塩町の齊藤啓輔副町長

こうしたベンチャー企業が事業を披露するイベントは東京都内を中心に増加しているが、札幌市では数少ない。同プログラムでは札幌ならではの事業に取り組むベンチャーも複数登壇した。

今回はじめてプレゼンに挑んだのが、札幌市立大学の研究生が取り組むnoricoprojectだ。雪道でも走行できるキャタピラ式車椅子を開発している。登壇した学生は「北海道では降雪がひどく、災害時に避難しようとしても雪道を車椅子で走行することができない。そこで雪に車輪を取られないようキャタピラ式にし、悪路でも力強く走行できるよう設計した」と話す。審査員からは「北海道ならではのアイデアだ。だが、一方で凍結した坂道などでも安全に走行・停止できるかなど、さまざまなトラブルを想定しなければいけないと思う」などの意見が挙がった。

こうした新たな技術の開発には、自治体も高い関心を見せている。高齢化や人手不足、人口減といった地域の深刻な課題の解決の糸口をベンチャーの技術に求めている自治体は少なくない。実際に新たなITサービスを公的サービスとして取り入れているのが、北海道天塩町だ。天塩町は北海道北部の西海岸に位置する、人口約3000人の町だ。高齢化と人口減少による働き手不足に悩んでいる。町では便の少ない脆弱な交通体系を補うために自動車の空席をシェアするライドシェアサービスを展開するnotteco(東京都千代田区)や、働き口のない主婦や高齢者にネットで仕事を仲介するクラウドソーシングを展開するランサーズ(同渋谷区)と提携。

ITサービスで町の社会課題の解決に乗り出している。同町の齊藤啓輔副町長は「天塩町は人口減少に伴う産業の衰退、税収減が深刻化している。そこで町民を集めて町を再興させるための勉強会をはじめてみると、意外なほど多くの町民が集まってくれた。町民は自分たちの町をもう一度元気にする取り組みに協力したいと本気で考えてくれているし、そのための資源がたくさん眠っている。ITサービスを活用することで、こうした課題に立ち向かうことができる」と語る。

登壇する起業家たち。地方ならではのビジネスを展開する者も

登壇する起業家たち。地方ならではのビジネスを展開する者も


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国際イベントニュース 編集部 長谷川遼平

2012年入社。賃貸住宅に関する経営情報紙『週刊全国賃貸住宅新聞』編集部主任。起業・独立の専門誌『ビジネスチャンス』にて新市場・ベンチャー企業を担当。民泊やIoTなど、新産業を専門に取材中。

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