急増する観光PR動画、狙いは海外客

▲「YouTube」といった動画サイトに観光動画が急増している。「ご当地PR動画」として海外にも発信されており、動画にコメントする外国人も多い。動画の視聴をきっかけに来訪することも多いという。動画の配信者は、自治体や観光協会などさまざまだ

(一社)日本コングレス・コンベンション・ビューロー(JCCB・東京都新宿区)は5日、自治体のMICE誘致の担当者を集めたセミナーを開催した。テーマは「観光PR動画は地域に利益をもたらすか」。一千万回もの視聴数を稼ぎ出すなど、観光動画に関心が集まる中、実際に観光客を呼び込む動画とは何か。「海外にも通用する」がキーワードとなりそうだ。

「100万回再生されたら、動画の内容を実現させます」。別府市の長野㤗紘市長がコメントを寄せた動画を配信したのは、2016年11月のことだ。動画は「市内にある遊園地の乗り物に名物である温泉の湯を流し込む」「温泉を楽しみながら遊園地を楽しめる」というコメディ仕立て。配信からわずか3日で再生数100万回を突破し、今年7月には公約を実現させた。3日間で約9000人が来場した。

こうした地域に観光客を呼び込むための観光動画を、自治体が制作するケースが急増している。新潟県や茨城県、広島県呉市、佐賀市など、既に配信されているものだけでも数十件にのぼる。

観光動画の制作に携わる映像作家の永川優樹さんは「ターゲットを定めて、それに合わせた正しい観光動画を作れば、必ず強力な効果になる」と話す。

実際に観光客の増加に貢献もしているようだ。永川さんが昨年10月に草津温泉観光協会と制作した観光動画は173万回の再生数を記録。その後、実際に草津温泉を訪れた台湾人136人に聞き取り調査をすると、32人が「動画を見たことがある」と回答し、14人が「動画が決め手になって草津に来た」と回答した。

動画は、4Kの高画質動画で市内の温泉などの観光名所の風景を映しているものだ。名所の解説などはなく、ゆったりとした音楽を背景に映像が流れるだけ。そこに海外観光客を呼び込む秘訣がある。

「観光動画には有名タレントを起用したものやコメディ仕立てのものなど、さまざまな種類があるが、動画内で日本語を使っているものだと、海外の人は見てくれない。こうした言語によらない動画は、内容がシンプルなだけに長く視聴される傾向があり、国籍を問わず魅力を伝えることができる」と永川さんは語る。

こうした動画制作が増える背景には、カメラの進化もあるようだ。「昔は、画面がぶれない映像を取るためには、撮影地にレールを敷くなど大掛かりな仕掛けが必要だった。しかし、今は数十万円程度の個人用カメラでもハイビジョン動画を撮影できるし、撮影スタッフも少数で済む」と永川さんは話す。

▲永川さんが撮影に使用している「RED」。2~3名で本格動画を撮影できる

実際に永川さんが動画を制作するにあたってかける予算は、2~3分程度の動画で500万円ほど。撮影スタッフは2~3人だが、ハリウッド映画の撮影にも使われる高速4Kデジタルカメラ「RED」やドローンなど最新の機器を使用しており、動画の質はテレビ番組や映画にも引けを取らないほど高い。

JCCBの小堀守事務局長は「観光の誘致においても動画を活用しなければならなくなっている、という実感が強くなった。海外の人たちに日本に行きたいと思わせる、魅力的な動画を作っていかなければいけない時代になっている」とコメントした。


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国際イベントニュース 編集部 長谷川遼平

2012年入社。賃貸住宅に関する経営情報紙『週刊全国賃貸住宅新聞』編集部主任。起業・独立の専門誌『ビジネスチャンス』にて新市場・ベンチャー企業を担当。民泊やIoTなど、新産業を専門に取材中。

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