語る手記(8)

「自宅増築を続けなければ呪い殺される」。1884年、カリフォルニア州のサンノゼに住むウィンチェスター夫人は妄想に取りつかれ、38年間にわたって増築を続けた。ドアの数は二千、窓は一万、部屋数は160。今では「ミステリーハウス」として観光名所になっている。

無理な増築を進めた結果、ドアを開ければ壁、階段の先には天井と、実の伴わない家になった。自らに取りつく霊の目をあざむくため、構造は複雑を極めている。夫人は1922年、85歳で亡くなった。

中身の伴わないようにも見えてしまう。希望の党への合流を巡り、民進党が分裂。排除されたリベラル派が結集し、立憲民主党が誕生した。今日が公示となった衆院選だが、話題はいまだ派閥の動きについてばかりだ。「反安倍」にのみに関心が集まり、政策内容への議論が薄まっていないだろうか。安全保障、改憲論議、原発、増税と、考える問題は多い。

天井に触れるためにしか存在しない階段のような、いびつな家にはしたくないものだ。国を造る大工は、国民一人ひとりなのだから。


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国際イベントニュース 編集部 長谷川遼平

2012年入社。賃貸住宅に関する経営情報紙『週刊全国賃貸住宅新聞』編集部主任。起業・独立の専門誌『ビジネスチャンス』にて新市場・ベンチャー企業を担当。民泊やIoTなど、新産業を専門に取材中。

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