数多くの企業が出展し商品を売りこむ展示会では、来場者の目を一目で射ぬく造作技術がものをいう。会場の中で来場者が集まるブースの展示のこだわりから、その秘訣を探る。

展示で見せる「職人の街」(第19回 産業交流展2016)

都民のベッドタウンとして知られる世田谷区の地図上に、約60名の顔写真が並ぶ。竹細工の工芸品やバイオリン、刀の鍔(つば)などを製造する職人たちの顔だ。地図のタイトルは『ものづくり世田谷』。『産業交流展2016』に公益社団法人世田谷工業振興協会(東京都世田谷区)など約10社が共同で出展し、知られざる準工業地域としての姿を見せた。世田谷区には鍛冶や漆芸といった伝統工芸のほか、医薬・化粧・食品メーカーも多い。虫刺されや痒(かゆ)みに効く外用薬『キンカン』を製造する金冠堂(東京都世田谷区)も、その一つだ。
同協会の担当者は「地域の製造業は他社とのマッチングの機会に乏しい。こうしたイベントで企業や技術を知ってもらうことで、次のビジネスにつながることも少なくない」と話す。世田谷区ブースの隣では、足立区が同様に地域のものづくり企業を集めて、出展した。ブース内では、刀剣や書画を保存する宝蔵金庫や、特定方向からの光のみを通過させる偏光板などの一風変わった展示物に多くの来場者が足を止めた。出展した企業は「多くの来場者が珍しがって来てくれた。直接商談につながるケースは多くないが、自分たちの商品を多くの人に見せる、数少ない場だ」と感想を述べた。

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2台のモニターで実演を中継 商品と技術を売り込む(東京ネイルエキスポ2016)

2日間で5万3496名が参加した『東京ネイルエキスポ2016』の中で、一際多くの来場者の足を止めていたのが、ネイル商材の製造を行うジューク(東京都渋谷区)だ。ブースではネイリストやアートディレクターによるデモンストレーションを行った。ネイリストの来場が多い同イベントでは、他にも多くの出展者が実演を行った。ジュークの担当者によると「新作の商品を探しに来ると同時に、技術を学ぶことが来場者の目的。デモンストレーションを行うことで効果的にブースに人を呼び込むことができる」のだと言う。

その一方で課題となるのが、より多くの来場者に実演する「手元」を見せること。狭いスペースの中でより多くの来場者にネイルを見せるため、実演するネイリストの手元にカメラを設置し、2台のモニターをブース上部に掲げた。ブースに立ち寄った来場者はスマートフォンを片手に、熱心に実演に見入っていた。担当者は「実演後はそのまま買い物してくれる。商品紹介とブランディンを同時に行える」と手ごたえを語った。

 


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国際イベントニュース 編集部 長谷川遼平

2012年入社。賃貸住宅に関する経営情報紙『週刊全国賃貸住宅新聞』編集部主任。起業・独立の専門誌『ビジネスチャンス』にて新市場・ベンチャー企業を担当。民泊やIoTなど、新産業を専門に取材中。

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