IR実施法案 ~国会提出 10月にも~

推進本部、作業は大詰め

政府直轄の特定複合観光施設区域整備推進本部(IR推進本部)が、国民向けの公聴会を全国9都市で始めた。今月1日にIR推進会議から提出されたIR実施法の試案を基に、カジノを含むリゾート施設の概要を国民に対し周知するのが目的だ。内閣官房のウェブサイトでもパブリックコメントの募集が始まっており、今月末まで受け付ける。これらの反応を踏まえ、IR推進本部は9月中に提出法案の詰めに入る。国会への提出は早ければ10月になりそうだ。

安倍首相が本部長を務める政府のIR推進本部は、各省庁から集められた60人の官僚からなる、内閣官房の直轄組織だ。ここが、IR実施法国会提出案の取りまとめを行う担当部局となる。「人が来てないのは、防衛省と環境省ぐらい」と職員が話すように、新法が関わる範囲は広い。

カジノを取り締まる法律は海外にもあるが、IR全体を統括する法律となると世界的に例がない。日本型IRは、カジノの他に宿泊・商業施設、国際会議場や展示場などのMICE施設、劇場やスポーツ観戦などのエンタメ施設の設置を義務づけようとしている。監督官庁が異なる施設を一つに集まる上に、カジノという日本にない施設を取り締まるため、幅広い省庁から人が集められた。 

公聴会とパブリックコメントで8月いっぱい国民の反応を見た後、推進本部は9月から大詰めの作業に入る。IR推進議連などとの調整を経て、早ければ10月にも国会への提出を控えているからだ。国会提出後のスケジュールはまったく読めないが、順調に審議が進んだ場合、来年春の通常国会で通過すると予想する専門家もいる。 

超党派のIR議連で幹事長を務める自民党の岩屋毅衆議院議員は、7月末に提出されたIR推進会議の試案に対して、「8割賛成、2割は議論の余地あり」と話した。地方都市にそぐわない大都市寄りの要件や、マイナンバーカードによる本人確認が利用者を制限しすぎるといった理由からだ。 

公聴会の皮切りとなった17日の東京会場では、参加者100人のうち12人が質問に立った。 

香港市場に上場するIR運営会社は、外国籍企業が日本で参入する方法や、複数候補地への参加の可否について質問した。また、三井住友銀行は、カジノ管理委員会と国土交通省にまたがる監督官庁の関係を明確にするよう求めた。 

反対姿勢を打ち出す意見も上がった。日本司法書士会連合会は、ギャンブル依存症対策の効果が検証されていない段階で法案が提出されることに対し、今川嘉典会長の談話で遺憾の意を表明していることを再確認した。また、海外事例を挙げ、必ずしもカジノが地域経済を活性化させていないことや、マネーロンダリングに対する不安を訴える個人の姿もあった。 

与党議員や国民の反応を見て、どのような国会提出案がまとまるのか、9月は推進本部の動向に注目が必要だ。


国際イベントニュース 編集長 東島淳一郎国際イベントニュース編集長 東島淳一郎

2009年全国賃貸住宅新聞社入社。劇団主宰者から銀行勤務を経て30歳で記者に転身。7年間の記者生活を不動産市場で過ごす。2016年9月、本紙創刊とともに現職。

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