「うちのキャラ、買いませんか?」 -トレンド最前線-

▲阪神タイガースも球団の版権を使い、コラボする企業を探した

アニメや漫画のキャラクターを製造業などに売り込む「版権ビジネス」が活況を呈している。6月28~30日に開催された「コンテンツ東京」には、キャラクターと自社の商品をコラボしたいと考える企業など3万8746人が来場し、にぎわいを見せた。

台湾、中国…海外から売り込み

「有名キャラクターをプリントしたグッズを販売すると、その作品のファンが振り向いてくれる。これまで当社の顧客は高齢層がメーンだったので、若年層に向けた商品づくりにつなげたい」

そう語るのは、和歌山県でタオルの製造を行う企業に勤める石館勇樹さんだ。これまで他社のコンテンツとコラボ商品を出したことはなく、同業者から版権ビジネスについて聞いたことから関心を持ち、今年初めて来場したという。

コンテンツ東京内の一つとして開催された、キャラクター・ブランドのライセンスに関する専門展「ライセンシングジャパン」には、1000種類以上のキャラクターが出品された。来場者は食品・生活雑貨の製造業社やIT系サービスの開発会社など幅広いという。

日本を狙う海外市場

こうした版権市場の活況に目を着け、日本にコンテンツを売り込む海外出展者も多い。財団法人台湾デザインセンター(台北市)は、自国のクリエイターら10社を集めて同展へ出展。文化産業の発展・促進を支援する政府直轄の組織で、4年前から毎年出展を続けているという。

台湾デザインセンター(台北市)Xisca Hsu氏

こうした台湾企業の日本進出を支援するミーティアストリームス(東京都目黒区)の伊藤光枝社長によると、台湾では数年前からこうしたコンテンツづくりを行う版元企業が増えているという。輸出先は日本や中国、欧米がメーンだ。「台湾は国土が小さく、資源に乏しいので、こうしたキャラクターやデザインの意匠を輸出して外貨を稼ぐという方針を政府が示している。以前、上海で開催された展示会に出展した際には、1社で1億円の商談が成立したケースもある」と伊藤社長は話す。

台湾では数年前から自国のコンテンツ産業を海外に売り出すプロジェクトをはじめた。台湾版「クール・ジャパン」とも言える政策で、「FRESH TAIWAN」として毎年10社程度の海外進出を支援している。

▲料理を題材にした絵本作品「美味しい料理は簡単じゃない!」

企業が狙うのは、日本でキャラクター展開を進めるためのエージェントだ。日本でのグッズ販売やコラボ企業とのやり取りを担当し、自社の版権を最大限に活用してくれる人が必要だという。

「今回は、特にゲーム関連企業の方が多かった。UFOキャッチャーの景品にしたいとか、ゲームのキャラクターとして使用したいという声もあった。ほかにも、小売店で販売するので版権を使わせてもらいたいという雑貨メーカーもいた」(伊藤社長)

こうした台湾のキャラクターを求める声が多い理由の一つに、文化的類似性が高いことがあるようだ。今回出展した作品には、米をキャラクター化した「こめおやじ」や、すしやおでんといった料理をモチーフにした絵本作品「美味しい料理は簡単じゃない!」など、日本になじみ深いものも多い。台湾での商品展開をそのまま日本に輸出できることに魅力を感じる企業も多い。

米のキャラクター「おこめおやじ」。台湾ではオリジナルグッズの販売もされ、人気を博す

海外展開の足掛かりに

一方で、台湾進出に現地のキャラクターを活用する日本企業も増えているという。トヨタ自動車は台湾でのセールスプロモーションにおいて「美味しい料理は簡単じゃない!」とコラボ。同作品がフェイスブックなどで多くの現地人から支持されていることから、高いPR効果を見込んだ。

伊藤社長は「台湾のコンテンツは中国やシンガポール、マレーシアなど近隣の国にも広がっている。特に中国では、台湾で放映されている子供向け番組の版権を買って自国で放送するなど、台湾のコンテンツを輸入する動きが加速している。そのため、台湾のコンテンツを活用することで中華圏全土や東南アジア諸国への進出にも生かすことができるだろう」と語る。

ライセンシングジャパンの開催は今回で7回目。台湾のほかにも中国が自国のコンテンツ企業らを取りまとめて出展するブースを出しており、今後ますます海外からの売り込みが加速しそうだ。


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国際イベントニュース 編集部 長谷川遼平

2012年入社。賃貸住宅に関する経営情報紙『週刊全国賃貸住宅新聞』編集部主任。起業・独立の専門誌『ビジネスチャンス』にて新市場・ベンチャー企業を担当。民泊やIoTなど、新産業を専門に取材中。

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