▲IR推進本部が入居する霞が関ビル

カジノばかりに目が行きやすいIRの議論だが、今後は会議場や展示会場などのMICE施設や、劇場やスポーツ観戦施設などのレクリエーション施設について注視する必要がある。IRの制度づくりを所管する特定複合観光施設区域整備推進本部(IR推進本部)で、各省庁から派遣された60人の官僚を取りまとめる中川真次長は、IR施設に含まれるカジノ以外の部分が、政府が掲げる成長戦略に合致し、経済の推進役として期待されると述べた。

IRの制度設計に関する議論を現在主導するのは、IR推進会議だ。民間から選出された8人のメンバーが中心となり、4月以降6回の会議が招集され、IR事業者選定のルールや、カジノ部分の規制について外部の専門家を交えながら議論を重ねている。

その中で、日本型IRの要件として、4つの異なる機能を持つ施設を同じ敷地に設けることが求められつつある。4つの施設とはカジノ、宿泊施設、MICE施設、レクリエーション施設だ。事務方の代表として推進会議にも参加する中川次長は、政府が掲げる観光立国や、インバウンド誘致という観点から見た場合、MICE施設とレクリエーション施設の価値が重要だと指摘した。

海外の事例を見てみると、米国ラスベガスのIRは、カジノ以外の収益が全体の6割以上を占めている。ラスベガスは国際会議場や展示会場での展示会がインバウンド誘致の拡大に寄与し、シルク・ド・ソレイユのような観劇収入や、ボクシングをはじめとするスポーツ興行も大きな売り上げにつながっている。

スポーツ興行はチケット売上の他に、テレビなどの放映権収入も大きい。「芸能・スポーツの興行で、同規模の事業を展開する企業は日本にはない。展示会や国際会議についても同様だ。それぞれの業界が上振れる余地を十分に残しているということであり、経済成長が見込める」(中川氏)

一方で、歴史の浅いシンガポールのIRは、8割をカジノで売り上げる。日本の場合も当初はカジノが牽引する可能性が高いとした。MICE施設に関しては、国際会議場と展示会場の議論が混同されやすい傾向があるが、「世界的な展示会を開催していくために、大規模な会場をつくることも検討するべきだ」と述べた。


国際イベントニュース 編集長 東島淳一郎国際イベントニュース編集長 東島淳一郎

2009年全国賃貸住宅新聞社入社。劇団主宰者から銀行勤務を経て30歳で記者に転身。7年間の記者生活を不動産市場で過ごす。2016年9月、本紙創刊とともに現職。

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