カザフスタンと「一帯一路」

カザフを横断する習近平の経済構想 中国と接する国境1800キロ

中国が掲げるユーラシアを横断する経済圏構想「一帯一路」に関する国際協力フォーラムが5月14~15日、北京で開催された。5年に一度の共産党大会を控えた習近平国家主席による肝いりのフォーラムだ。日本や欧米先進主要国から首脳が参加したのはイタリアだけだったが、ロシアや東南アジアなど29カ国の首脳を含め130カ国の代表が参加した。

中国が主導する海と陸の現代版シルクロード経済圏の創設として世界中から注目される「一帯一路」構想を習主席が初めて提唱したのは、2013年9月にカザフスタンを訪問したときだった。陸と海、2つの回廊のうち、陸路はカザフスタンを含む中央アジア諸国を横断して中国と欧州を結ぶ。そのため、この構想の実現に中央アジアのインフラ整備は欠かすことができず、中でも中央アジア最大の経済規模を誇るカザフスタンと中国との連携強化は注目に値する。

今回は、「一帯一路」構想や中国との関係を軸にカザフスタンを見てみたいと思う。カザフスタンは中国と約1800キロメートルの国境を接している。国境を越えた中国西部は同国からの独立を主張するウイグル族が半数以上を占める新疆ウイグル自治区だ。ウイグル族はカザフ人と同じテュルク系民族でイスラム教を信仰しており、自治区内にはカザフ人やキルギス人など中央アジア系の民族も多い。

国境を接するカザフスタン、さらにはキルギス、タジキスタンの政情不安や民族主義の台頭はウイグル問題に大きな影響を与えかねない。そのため、ソ連崩壊直後の1990年代、中国にとってカザフスタンや中央アジア諸国との関係における最大の関心事は国境付近の安定、地域の安全保障だった。

1996年4月、国境画定と地域の安定強化についての話し合いのために中国、ロシア、カザフスタン、キルギス、タジキスタン首脳が上海に集い、上海ファイブが開催された。さらに2001年には上海ファイブを前身として、この地域が抱える国際テロや民族分離運動、宗教過激派問題への共同対処など、主に安全保障分野での協力強化を図るための常設的な地域協力組織、上海協力機構(SCO)が発足した。中国とは国境を接していないものの、ユーラシア地域の安全保障にとって重要な国であるウズベキスタンもSCOメンバーに加わった。


▲(一社)ロシアNIS貿易会(東京都中央区)中馬瑞貴研究員
上智大学外国語学部ロシア語学科卒、慶応義塾大学法学研究科政治学博士課程。2008年より同社。

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