開催同時刻に配信する動画を強化【主催者に聞く】東京ゲームショウ
- 2017/3/10
一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会(以下、CESA・東京都新宿区)が「東京ゲームショウ 2017」で、ネット動画配信コンテンツを大幅に強化する。海外からの出展・来場者数が増加し続けている現状を受け、展示会の様子をリアルタイムで世界に向けて配信することでイベントのさらなるグローバル化を図る。
会期:2017年9月21日(木)~24日(日)
会場:幕張メッセ
主催:(一社)コンピュータエンターテインメント協会(CESA)

国内85万人、海外27万人が視聴
CESAが「東京ゲームショウ」のネット動画配信を強化する。昨年までは国内向けにドワンゴが運営する『ニコニコ動画』、海外向けにアマゾンが運営する『Twitch』で当日の会場の様子を生放送していたが、今年から新たに中国の動画サイト『DouyuTV』でも配信する。
内容も増やす。昨年はCESAと出展者が配信した動画コンテンツの数は81個だったが、今年は90個にする。コンテンツを増やすことでイベントの様子を伝え、出展者の満足度強化を図る構えだ。
動画の視聴者数は年々増加している。昨年は国内の視聴者数が約85万人に達し、一昨年に比べ61%増加した。また、海外の視聴者数も27万人にのぼり、一昨年の5万人から急増した。動画配信を強化する背景には、展示会場の規模拡大が限界に達していることがあるようだ。
「東京ゲームショウ」は1996年に東京ビッグサイトで初開催され、第3回となる97年9月以降は幕張メッセで開催している。2015年からは幕張メッセ全館を借り切っているが、昨年は前年を約200社上回る614社が出展し、来場者も過去最多の27万人に達した。こうした状況から、会場の広さに限界がきていることが問題視されている。
対象は「イベント参加しないが関心ある」人
動画視聴者の65%は1都3県「外」に在住
動画配信は来場者とは異なる対象にイベントを見せる手段となっている。
(一社)コンピュータエンターテインメント協会が昨年実施したネット動画配信の視聴者の属性を調査したところ、視聴地域の65%が1都3県以外だった。一方、実際に会場を訪れた来場者のうち、1都3県に在住する者は73%を占めており、域外の来場者は27%にとどまっている。
年齢層にも差が出ている。来場者は20代が全体の37%を占めており、30代は22%となっている。一方、動画配信の視聴者は30代の割合がもっとも高く全体の35%を占める。20代の視聴者は26%にとどまる。こうした属性の違いから、動画コンテンツを強化することで、イベントに参加しないがゲームに関心を持つ新規顧客層にアプローチできるという。

岡村 秀樹会長
CESAの会長を務めるセガゲームス(東京都品川区)の岡村秀樹会長は「イベントの規模が増加する一方で、国内に(幕張メッセ全館以上の規模を持つ)広い展示会場がないことがボトルネックとなっている。今回のテーマとしている『さあ、現実を超えた体験へ。』という言葉には、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)などゲーム技術の進化という意味に加え、イベント自体を現実を超えたものにするという意味を込めている」と語った。
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2012年入社。賃貸住宅に関する経営情報紙『週刊全国賃貸住宅新聞』編集部主任。起業・独立の専門誌『ビジネスチャンス』にて新市場・ベンチャー企業を担当。民泊やIoTなど、新産業を専門に取材中。