2017万博の国 カザフスタン(第一回)

▲首都アスタナの中心部

2017年、首都アスタナで万博を開催するカザフスタンは、石油、天然ガスに加え、鉱物資源にも恵まれる。その恩恵もあり、ソ連からの独立後、いち早く経済成長を果たした。2000年以降、資源依存経済からの脱皮を図り、産業の多角化に取り組む。

◆豊富な鉱物資源と農業生産

カザフスタンには、「メンデレエフの周期表」に挙げられたすべての元素・鉱物が存在するといわれる。ウランやレアメタル・レアアースを含む鉱物資源が豊富であり、2000年以降、日本企業が積極的に関わっている。

また、あまり知られてはいないが、カザフスタンは農業大国でもある。広い国内の南北で気候や風土が異なるため、農業も多様性に富む。北部のステップ地帯では小麦、大麦、カラスムギなどの穀物を中心とした農作物の栽培と牛や馬の飼育を中心とする畜産業が展開され、南部では比較的温暖な気候を利用してヒマワリの種、野菜や果物などの栽培が盛んに行われている。

ただし、1990年代はソ連崩壊のダメージを受けて農業生産が不安定化した。1990年代後半から2000年以降の経済発展の時期においては、鉱工業分野の発展が重視されたため、作付面積は縮小を続けた。最近は国の経済政策の重要かつ優先分野の1つとして再び積極的な農業政策が採られている。

◆新しい経済・産業政策

前回(1/10号)で紹介した通り、カザフスタンは、石油およびガスを中心とする資源に大きく依存した資源国だ。その一方で、一定の経済成長を遂げた2000年代以降、政府はさらなる経済発展に向けて「産業多角化」「高度イノベーション技術の導入」「地域開発」など資源依存型の経済から脱却すべくさまざまな政策や国家プログラムを打ち上げている。

例えば、豊富な石油を有するにもかかわらず、カザフスタンでは石油製品については国内需要を満たすことができず、ロシア等からの輸入に依存している。そのため政府は、国内にある3つの製油所の近代化計画を策定し、生産能力の増強や生産効率の向上に努めている。

また、IT、冶金、石油化学、化学、輸送など各分野に特化した10の経済特区を設置している。特区に進出する企業に対して、免税やインフラへのアクセスなどの特権を用意し、積極的に投資を誘致している。

ソ連時代から製造業の発展基盤を備えていなかったカザフスタンでは、特に外国からの技術移転、新技術の導入に対する関心が高く、外国投資誘致に積極的である。最近は、日本を含む外国人に対する査証制度も緩和されている。一例として、外国投資誘致に前向きな姿勢が国際的に評価され、世界銀行が毎年発表しているDoingBusinessの直近のランキングでは190カ国中第35位(日本は第34位)と急上昇している。

◆強固な日本との関係

旧ソ連の中で、独立後にいち早く日本が大使館を設置したのがカザフスタンだった。駐日大使館も設立された。日本の総理大臣が初めて訪れた中央アジアの国もカザフスタンだ。前回紹介した通り、ナザルバエフ大統領はすでに4度の訪日を果たしており、政治・外交面での交流は活発である。

一方、経済・貿易関係は、日本から自動車や機械を購入し、カザフスタンからは資源を輸出するという大きく偏ったものだ。日本企業の進出もわずかで、産業分野も資源に限定されてきた。

しかし、近年カザフスタンは日本が得意とする「高度技術の導入」に強い関心を示しており、「グリーンエコノミー」や「グリーンエネルギー」をキーワードに、「アスタナ2017」のメインテーマである「未来のエネルギー」と合わせて、環境技術の導入にも積極的だ。環境技術は日本の強みである。こうした新しい分野も加えた形で日本とカザフスタンとの経済関係が今後、発展していくことが期待されている。

直近のカザフスタン経済は決して良いとはいえない。国際的な石油価格の低迷に加えて、最大の貿易相手国であるロシアの経済低迷の影響を大きく受けているからだ。EXPO2017の開催によってカザフスタンの知名度が高まり、日本を含む世界の投資家や観光客が関心を示すようになれば、カザフスタンの経済回復に明るい兆しが見えてくる。したがって、カザフスタンにとってEXPO2017は絶対に成功させなければならない重要な国家政策だ。その成功を見守ることにしたい。


(一社)ロシアNIS貿易会(東京都中央区)中馬瑞貴研究員
上智大学外国語学部ロシア語学科卒、慶應義塾大学法学研究科政治学博士課程。2008年より同社。

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