▲西九条で人気宿泊施設となった、セカイホテルの一室。旅行客だけでなく関西在住のOLたちが女子会で使用することも

空き家を使った宿泊施設「セカイホテル」が目指すのは、宿泊施設を使って街に雇用と人口増加を生み出すことだ。高い利回りを目指す一般的な投資と異なるため、投資家や地域住民と意識をすり合わせなければ、目指す成果の獲得には至らないことが多い。

投資目的は雇用と住民を地域に生み出すこと

街づくりの資本リノベで捻出

100人の宿泊施設を土地を取得して新築を建てる場合と、空き家を利用してリノベーションでするのとでは、イニシャルコストが30~50%違います。安ければいいという問題ではありませんが、新築のほうが金融機関は資金を貸すかもしれません。しかし、初期費用はだいぶ安くなります。

コストが下がるということは、事業全体の償却費が下がるということです。浮いた償却費は街に投資します。弊社では、30人超しか宿泊できない施設に、2~4人のスタッフを配置しました。宿泊客対応は1日の労働の2割程度なので、それ以外の時間は住民とコミュニケーションをとり、この街でできることを模索する時間に割きました。

投資家や住人を巻き込むのは、CSV(Creating shared value)という共有価値の創造という概念です。皆で同じ価値をつくるという考えが根底にあります。通常は建物を投資家に売りたいので、利益を確保しやすい投資環境を整えるでしょう。我々の事業は投資家にとって利回りが良いとは言えません。そのリスクも話し、理解してもらいます。

地域の人も声をかけたときに無償で手伝ってくれます。大学生も勉強になるとインターンシップとしてさまざまな場面で協力してもらいました。共通の目的が達成されれば結果として自分の欲しいものが手に、それがCSVだと思います。

そもそも一般的な開発が求める成果とは違うのです。どのくらいもうかるかという目標値ではなく、将来何人ここに住み、何人地元に雇用が生まれて、何店舗誘致できるかが我々の目標です。

社内で唯一決まっているルールは、オープンから5年以内に我々はその施設から退くことです。SEKAI HOTELのライセンスだけを保持し、人や金は地元に帰属するように、運営はすべて地元雇用で賄う設計を目指します。オープンして1年たった西九条では、社員以外はすべて2キロ圏内から通勤しています。委託の掃除パートナーさんなど、地元の方に協力いただいています。

宿泊以外にも解決策はある

来年、オフィスに居るだけで経営方針や理念をスタッフが体感できるオフィスリノベーションを始める予定です。また、福祉についてもリノベーションによる解決策を提案したいと考えています。

新しいコミュニティをつくりたいときには、不動産と建築・デザインは外せません。今回は宿泊の話が中心でしたが、地域活性に必要なことが宿泊ではない場合もあります。福祉・医療、サテライトオフィスなどのニーズもあるでしょう。人をつくる、コミュニティをつくるというときに、高度な位置で不動産・建築があると思います。


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クジラ 矢野浩一社長
1983年、九州生まれ。小学校~高校まで栃木県宇都宮市で過ごす。大阪の調理師学校に入学するものの、調理師をあきらめて不動産仲介業に従事。2007年にクジラを設立し、2014年に民泊、旅館業、簡易宿舎の運営を行うSEKAIHOTELを設立。

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