▲西九条で40年スナックを続けた野坂五夫さんは、SEKAI HOTELの開業でお店の継続を決めた

~SEKAI HOTEL~ 住民説明会を毎月開催

空き家を改修した地域密着型ホテル「SEKAI HOTEL」を、運営会社のクジラ(大阪市)は、全国5拠点に2020年までに拡大を目指す。その後は世界展開まで視野に入れるという。地域の理解を得ることが西九条での成功につながった。毎月説明会を開催するのもノウハウの一つだ。

リノベでの展開今後も継続

2020年までに、民泊を全国5拠点展開するのが現在の目標です。5拠点できることで「SEKAI HOTELってこういうブランドだ」と周知されブランディングが完了すると見ています。それ以降は、具体的に地方の都市でも、地元企業や行政と共同開発が始められると思っています。最終的には全国20拠点が目標です。海外からの話もあり、視野に入れています。

新築は建設せず、基本リノベーションのみ行っています。最近はマスコミに頻繁に登場したこともあり、「上場するのか」という質問もいただくのですが、上場はしません。今後空き家はさらに増え、地域の機能低下も進むでしょう。整理する・再構築するという開発の余地があらゆる地域にでてくると思っています。その地域で最小限かつ最適な開発の提案もしたいし形にもしていきたいです。我々は自分たちのことをミニマムデベロッパーと呼んでいます。

地域活性の効果も実感しています。フロントを通じて客室にいくというシステム上、地域の銭湯や飲食店、住民とのコミュニケーションが増えます。私が地域を歩いていたら大体地域のおばちゃんにつかまります。フロントスタッフも、「客室にちょっと行きます」と言って1度出ると、だいたいおばちゃんにつかまり、立ち話に付き合って1時間くらい帰ってこないということもままあります。

外国人宿泊客 住民との交流も

客室の隣の住民の方が、オーストラリア人の滞在者からお土産をもらったこともありました。昨年は宿泊客、町内会、弊社スタッフとその家族で餅つき大会をしたことがありました。観光客、運営会社、地域と交流ができました。喫茶店の店主は、SEKAI HOTELのオープン前に店舗をたたもうとしていたところを、無理を言って協力してもらいました。今では店主の生きがいになっています。本来休みだった日曜日も営業するようになり、外国人向けのお好み焼きパーティの企画も進めています。今までその地域に住んでいなかったのに「住みたい」という若者もでてきました。

地元からは当初は怒られ、毎月住民説明会を行っていました。折しもオープン前の16年の年末に新潟県の糸魚川で長屋が密集した地域で大規模火災が起きた時期でもありました。西九条は路地を入れば長屋だらけの地域で、再建築不可の木造中古建築がたくさんあります。火事になったらどうしてくれるのかという苦情を受けました。1年間ひたすら謝り続けると、今では本気で苦情を言う人はほとんどいません。

週に2回、自費で街の清掃もしています。スタッフと障害者の事業所にお金を払い、ゴミ拾いや、地域設備の不具合の解消などを行っています。地域に認めてもらうには、人やお金をかけて地道な努力が必要でした。

布施は住宅街ではなく商店街なので、歓迎ムードです。一緒に盛り上げてくれるので、西九条で培った経験をもとに、地域とコミュニケーションを取りながら関係を築こうと思っています。


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クジラ 矢野浩一社長
1983年、九州生まれ。小学校~高校まで栃木県宇都宮市で過ごす。大阪の調理師学校に入学するものの、調理師をあきらめて不動産仲介業に従事。2007年にクジラを設立し、2014年に民泊、旅館業、簡易宿舎の運営を行うSEKAIHOTELを設立。

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