同じ機能を持つ「予備」の「予備」まで必要

国際放送センター(IBC)と、メインプレスセンター(MPC)は、あらゆるオリンピック関連施設の中で、国際オリンピック委員会(IOC)の関心が、メイン競技場に並んで高い。IOCの収入源は世界中で放送される放映権が大半を占めるため、確実に映像を届けるための技術的な基地となるIBCに、絶対の安全性を求めるからだ。

NHKで国際会議などの放送センターの設計に長く関わった、国際メディアサービスシステム研究所(神奈川県横浜市)の廣谷徹所長によると、五輪のIBCでは、全く同じ能力を持つ放送センターが3つ必要になるという。何が起きても放送だけは止めさせないという、IOCの意識の現れだ。

IBCに求められる用件は、広い敷地と充分な電源、冷房設備の3つだ。衛星放送技術をはじめとする現代の放送設備は、重量があるため、複層階の建物には不向きだ。同時に、大規模な電力を必要とし、大量の熱を放出する。建物は広い空間さえ確保できればよいが、設備とインフラの充実が求められるというわけだ。

オリンピックが始まる1年前になると、IOC下部組織で、放送設備の構築を専門とするオリンピックブロードキャスティングサービス(OBC)が、乗り込んでくる。放送設備はすべてOBCが自前で用意する。

 

国が開発主導したロンドン リオは使用権渡して民間が負担

他都市の例を見てみよう。

ロンドンは、IBC6万㎡、MPC2万9000㎡、さらにケータリングと会議室を備えた別棟1万2000㎡の建物を新築した。建築費は500億円は英国政府が負担した。オリンピックパークの建設を、開発が遅れ不人気エリアだったロンドン東部の再開発事業として行ったのだ。大会終了後に改修され、今では衛生放送局のスタジオ、大学や研究施設などが入居するビルとして使用されている。

リオは、IBCが8万5000㎡、MPCが2万7000㎡という建物を新築した。こちらは民間が250億円の建築費を負担した。大会終了後の所有権を建築主に渡したのだ。最終的には予算がふくらんだため90億円の公費が投入されたものの、今後は展示会場や商業施設として利用することが決まっている。

国際メディアサービスシステム研究所(神奈川県横浜市) 廣谷徹所長(66)
1977年、NHK入社。報道局に在籍し国際放送局国際編成部長などを歴任。05にNHKインターナショナルに移り、国内外で放送センターの技術面の企画業務に就く。横浜APEC(10年)、IMF世銀東京総会(12年)、日米首脳会談(14年)で国際メディアセンターの統括責任者を務める。15年1月より現職。

 


国際イベントニュース 編集長 東島淳一郎国際イベントニュース編集長 東島淳一郎

2009年全国賃貸住宅新聞社入社。劇団主宰者から銀行勤務を経て30歳で記者に転身。7年間の記者生活を不動産市場で過ごす。2016年9月、本紙創刊とともに現職。

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