▲西九条駅から近い場所にある「セカイホテル」のフロント

~SEKAI HOTEL~ 地方創生にはシビアな事業計画が必要

地域の空き家や中古住宅のリノベ―ションした宿泊施設「SEKAI HOTEL」を展開するクジラ(大阪市)は、2016年8月、に新たなプロジェクトチームを発足した。以降、多くの地方創生、地域活性の事例を視察し、失敗と成功のポイントについて議論を重ねた。

自己資産でもやるならよし

よく見られた失敗は、「事業計画がゆるい・ずさん」というものです。助成金・補助金をもらうために事業計画書に盛り込みすぎてしまうのです。普通に考えれば、地域創生や地域活性の対象となる場所は「創生」「活性」がわざわざ必要なエリアで、それだけビジネスが難しいということです。都心部で事業するよりもハードルは高く、事業計画は一層厳しくシビアに考えなければいけません。

SEKAI HOTEL西九条」のオープンに際し、我々は行政、住人、金融機関の協力、いずれも一切ありませんでした。資金源は民間と個人投資家からの援助です。もし地方創生をキーワードにビジネスしようとした場合は、自分の資産を投げ売ってやっている会社経営で同じことができるかが判断基準になると思います。

WHYから始めよ!―インスパイア型リーダーはここが違う』という本の話は、チームの中でよくしました。理屈で「いい・悪い」を判断してもらうのではなく、直感的に「いい」と言われるかが大事なのです。

よく出される例が、Apple社iPhoneです。iPhoneは新商品が出れば深夜から行列をつくるほどの人気商品です。スターバックスコーヒーセブンイレブンP&Gなど、カテゴリーは違えど、ファン作りに力を入れる企業は少なくありません。

iPhone以外の携帯電話のCMは、「今回は薄さが何ミリになった」とか「写真の画素数が良くなった」という機能性・「WHAT」を訴求しますが、iPhoneのCMでは機能性よりも「iPhoneがある人々の生活(ストーリー)」に照準を合わせて訴求しています。

この考え方を地方創生に応用すると、その街にある特産物だけを推していてはマーケティング的にも弱く、勝ち残っていけません。何があるか、どんな機能があるかより、どういう理念のもとになされたプロジェクトなのかが成功の鍵になります。

責任者には全権を与える

合意性による意思決定――これもあまたある地方創生の失敗事例です。個人で大阪府下の人口8000人の町おこしを手伝ったことがあります。その際、課題解決のための議論ではなく、合意を取るために議論がなされる場面をよく見かけました。多数決を採る、全員の意見を聞かなければならない、「誰々さんの意見は無視できない」などです。

SEKAI HOTEL西九条」をオープンするにあたり、ベンチャー1社では実現は難しいので、6社で協力しました。弁護士、語学学校、NPO、デザイン会社、我々2社。そこでの議論では徹底的に合意性を排除しました。決定権は責任者である私とし、少数派でも意見が正しければ採用しました。この姿勢はすべて投資家の方にもご理解いただけました。

チームとは「目的解決のために編成される」べきものです。この定義を明確にし、毎日のように説き、この定義から外れる場合は常に指摘していきました。「誰かの意見は無視できない」というような意見はそれ自体が本来の課題解決からはずれていってしまうのです。


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クジラ 矢野浩一社長
1983年、九州生まれ。小学校~高校まで栃木県宇都宮市で過ごす。大阪の調理師学校に入学するものの、調理師をあきらめて不動産仲介業に従事。2007年にクジラを設立し、2014年に民泊、旅館業、簡易宿舎の運営を行うSEKAIHOTELを設立。

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